ぴかぴかベルと

現在某ゲーム会社で勤務しながら長女の子育て中。出産・育児にまつわる雑感。

「月曜日の朝、スカートを切られた」と同じ経験をした私が娘の母親として思うこと

欅坂46のこの曲が話題になっている。
自分も全く同じ経験をしたことがあり、娘もいて思うところがあるので少し書いてみる。


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私自身の話をする。
確か高校二年生だった。当時まだ営団地下鉄だったころの千代田線で通学していた。
いつも通り学校について朝礼の挨拶「規律、礼」のところで後ろの席の子の「あ、スカート」の声で気がついた。スカートの後ろ、10cmほどが縦に裂けている。
最初に思ったのは「どっか引っ掛けたっけ?」で、悪意のある攻撃を受けたとは本当に思いもしなかった。
先生に保健室に連れて行かれて代わりの制服を貸してくれ、親に連絡が行った。
私立の女子校だったのでそこそこ大事になったらしい。
親に「覚えてないけどどっかで裂けちゃったのかも」と言うと「こんな切れ方するか馬鹿」と返ってきた。
摘んで切ったような跡があったらしい。親は犯人に滅茶苦茶キレていた。
その後のやり取りはあまりよく覚えていない。多分鉄道会社などには学校から報告したのだろうと思う。
特に身体を触られたわけでもなく、ただ制服を切り裂くという悪意のあり方があるという事にとにかく驚いた。

言っておくが高2の私は太っていて顔もぼやけているし、当時は安室奈美恵が大ブームだったがそれに倣ってダサい制服のスカート丈を短くするわけでもなく、凡庸としか言いようのない容姿だった。
加えて通学時間帯の千代田線は満員電車ではあるが隙間は多少あり、自分の身にまさかそんなことが起こるとは俄には信じることができなかった。

この出来事が自分の中で大してトラウマにもならず、その後も若干警戒しながらも普通に電車通学ができたのは周りの大人が即座に反応して対処してくれたことが非常に大きかったと今になって思う。
母はこっちが引くほどキレていたし、なんか悪いなと思うほど学校の先生たちは心配して対応してくれた。
おかげで自尊心を損なうことなく残りの女子校生活をのほほんとエンジョイすることができた。

欅坂46の「月曜日の朝、スカートを切られた」に話を戻す。
MVを見たが、よくできている。
タイトルのフォントもスタイリッシュで、画面はアンニュイなトーンで統一され、女の子たちは美しい。
曲調も思春期に抱える鬱屈を表現できている。とは思う。

非常に狡猾なのだ。

誰かの憂さ晴らしでスカートを切られても黙っている、何かに抗っているような雰囲気だけは醸している。雰囲気だけ。そんな曲を魅力的にラッピングして少女たちに歌わせる大人の存在。
それこそが邪悪だ。

例えばMVに出てくる女の子がこの曲を自分で作って歌ったのならそうは思わなかったかもしれない。
すべての表現にポリティカルコレクトネスが必要だとも思わない。
歌詞に共感する子たちも多いだろう。私の娘もいま思春期くらいの年齢なら熱心に聴いていたかもしれない。

その子達がスカートを切られたとき。
誰かの憂さ晴らしに利用されたら、暴力を受けたら。

怒っても悲鳴を上げてもいい。この曲の歌詞みたいに息を止める必要なんてまったくない。私が一緒にブチ切れてあげる。

少女達には抑圧と諦念のなかで過ごして欲しくない。自分以外に都合のいい価値観を内面化して憂鬱にならないで欲しい。

私は秋元康的な世界観にNOを突き付け続けようと思う。